猫の多頭飼育崩壊①

◆ 2019年猫の多頭飼育崩壊 Sさんの場合①◆

昨年11月27日に猫の多頭飼育崩壊の事を投稿してかなり日数が経過しました。
引き続き報告をしていく予定でしたが、時同じくして、小型犬の多頭飼育崩壊の案件が入り、猫の報告が後回しになってしまいましたが、どうにか落ち着いてきましたので、報告させて頂きます。

以前、Sさん(60代男性)の勤務先に箱に入った数匹の子猫が遺棄され、上司から「S、仕事帰り捨てて来てくれ」と命令されたそうです。命令されたものの、捨てることができず、自宅で飼育をすることにしたSさん。
子猫が成長すると「増えたら大変だから。」と動物病院に連れて行きメス猫の不妊手術をして適正飼育をしていたそうですが、捨てられている猫を見かけては放っておくことができず、保護し自宅で飼っていたそうです。

その子猫が成長し、「メス猫なので避妊手術をしないといけない」と思っていた矢先、体調を崩し入院。
数日間の入院だったようですが、その間に猫は妊娠し、やがて出産。
その時すぐに母猫を避妊し生まれた子猫の里親探しをしていたらこんなことにはならなかったのに、里親探しをする術もわからず体調の悪さにかまけて猫のことを放置したばかりにアッという間に猫が増えてしまった。と言っていました。

その後、再び病気が悪化し今度は3か月近くにも及ぶ長期入院を余儀なくされたSさん。
入院中の猫のお世話に困り、疎遠になっていた3市町村離れた場所に住む弟さんにお願いしたところ、「遠方だし3日に1回くらいでよければ餌と飲み水の世話はするが、猫のトイレ掃除はできないけど構わないか」と言われ、他に頼る人もなく、仕方なく弟さんにお願いすることにしたそうです。

そして、3か月の入院生活を終え帰宅すると、猫が自由に行き来できるようにしていたリビング、階段、2階の踊り場が糞尿まみれに。
退院はしたものの、自身の体調も芳しくなく猫のトイレ掃除はおろか汚れた部屋の掃除をする気力もなく、猫にご飯と水をやるくらいがやっとの毎日。
その間にも日々汚れて荒んでいく部屋、いつの間にか妊娠し増える猫を見るのが怖くて、かろうじて猫達にご飯やお水はあげていたものの、自室にこもりっきりの3年間だったそうです。

そんなある日、通勤中に路上で倒れ意識不明になったSさん。
担ぎ込まれた病院に迎えに来てくれる人は誰もおらず、行政(福祉)のお世話になることとなり、行政の方がSさん宅に送り届けてくれたことにより、劣悪な環境の中、20匹弱の猫とSさんの生活を知り、アニサポに相談がありました。

 Sさん,行政職員,アニサポの3者で話し合いの場を設けた結果、Sさん自身も「自分の生活を立て直したい。今まで変わるキッカケがなかったけど、アニサポさんがお手伝いしてくれることが変われるキッカケになれば」との強い思いもあり、関わることになりました。

アニサポとして
1.今いる全頭に避妊,去勢手術をして下さい。
2.持病のあるSさんが今後こんなにたくさんの猫を飼うのは無理なので、譲渡会に猫を出して里親探しの協力を約束。
3.アニサポも協力するので、Sさんも人間らしい生活を取り戻してください。

と3つのお願いをしたところ、Sさんは「アニサポさんが協力してくださるなら頑張ります」と約束して下さいました。
こうしてSさんの多頭飼育崩壊に関わることになったのです。

次回に続く